Childhood's End

映画と本の感想など

『マルセイユ』(2016年)

 

Netflixオリジナルの政治ドラマということで早速全話鑑賞。フランス・マルセイユ市の市長VS副市長の政治ドラマ。主に市長選挙戦を8話で描いている。日本に住んでいる身としてはマルセイユの市長選がどういった仕組みで動いているかを何も知らなかったので、大丈夫かと不安に思って観ていたが話の核はそこには無くて、単純な人間ドラマ、家族や過去の話が核(ぶっちゃけネガティブキャンペーンの泥仕合)となっていた。

 

 このドラマ完全に『ハウス・オブ・カード』をマルセイユでやってみたら…という構造になっていて、第一話で裏切られた復讐で一度は引退宣言をしていた市長が再び政界に躍り出るみたいな話になっているのも焼き直し感満載なのだが、どうも復讐劇で必要な爽快感、カタルシスが得られた訳では無かったのでその面では消化不良。『ハウス~』で無かったのは、副市長が選挙戦をするにあたって地元マフィアと癒着を働いてあの手この手の汚い手で選挙を有利に働かせたり、パトロンや選挙スタッフの女とやりまくりで敵としても魅力に欠ける。市長は市長でそんなにやり手に見えない。お前本当に20年もマルセイユ牛耳ってきたんかい!!と。清廉潔白だから市長を続けてこれたのか?と思いきや叩くと埃結構出てくるし粗多くてこちらはこちらで微妙。他にまともな政治家おらんのかいというくらい周りの奴もしょぼい。核心になる家族や過去の話もパンチに欠ける。

 

 最終話の引きで第二シーズンへの期待を高めてはいるが、このままのテンションでは続きそんなに楽しみではないぞと思ってしまった。ちなみに、場面の合間に映されるマルセイユの街並(空撮)がとてもキレイで『天空からの招待状』を思い出したので、映像は大変キレイだった。

 調べてみたらこのドラマ4Kで撮影されているみたいですね。

 

この記事で

マルセイユ」は多層構造をもつ没入体感型ドラマだ。膨大なデータ分析により、その形式のドラマがもっとも視聴者に好まれることをNetflixは知っている。

とあったが、『マルセイユ』については多重構造に至る前にドラマが終わっている感が否めないので、市長が過去マルセイユ市で何を成して、何を成せなかったのかについてを深掘りしたら確実に面白くなると思う。