Childhood's End

映画と本の感想など

十束おとはちゃんに薦めたい、読むとはすはす出来る本を考えてみたよ。

 柞刈湯葉横浜駅SF』は僕達が日々使っている「駅」に対するまなざしを、劇的にではなくちょこっとだけ新鮮にしてくれるようなライトな作風を纏いつつ、作者の駅に対する愛とSF的想像力は底が見えないディープなものであると確かに感じさせる秀逸な作品であった事は記憶に新しい。

 

 

 僕がこの本を読んだのは昨年の冬であり、どうして半年以上も経ってここに感想を連ねているのか。この十束おとはちゃんが積んでいる本の山の中に『横浜駅SF』があったという大変安直な理由である。この時点でめちゃくちゃおとはす(十束おとはちゃんのニックネーム)と本の話をしてみたくなったので、なんとなく彼女にオススメするべき本を考えてみようと思いました。

 

◯オススメ本①:赤野工作『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』

 最近読んで抜群に面白かった本。2115年に設立した架空のゲームレビューサイトを書籍化したもの。設定だけでもうぶっ飛ぶんですが、実際に読んでみると本当に将来こんなクソゲー群が産み出されてそうだって思わずにはいられない説得力。「今ここにある現実の延長線上にあるだろう蓋然性の高い想像」+「筆者の考える夢」が適度に混ざり合って現実と夢の境界線が見事に消え去さっている風景が見られます。夕焼けの時の空を見ている時に味わえるあの不思議な感じ。

 

◯オススメ本②:泉和良『エレGY』

 フリーゲームクリエイターの主人公(著者と同じ名前)と、主人公のファンの女子高生との純愛?小説。めちゃくちゃ純粋過ぎて読んでて恥ずかしくなってしまった記憶が蘇ってきた。ゲームが繋いだ絆(安っぽい言葉だ)。作品の最後にヒロインが主人公の全ゲームをレビューする章があるのだけれどそこで感涙必至だった。

 

◯オススメ本③:渡辺京二『逝きし世の面影』

 ①と②がゲーム関連だったので、流れを踏襲して③もゲーム関連にしようと本棚を眺めていたら目についたので、全然関係無いけどこれにする。改めて内容を思い返すとかなり面白い狩猟記。幕末から明治に日本を訪れた外国人の手記の数々を著者が統合して、浮かび上がってきた当時の日本の姿が生き生きとした筆致で描かれている本。傑作SFの『闇の左手』や『ニューロマンサー』を読んでいる時のような、隔絶した世界の出来事を読んでいるような感覚に襲われる。同じ日本の事なのに全く違う異世界のよう。SFや違った種類の想像力のエンジンが駆動しており、読んでいる間は本当に気持よくトリップができてオススメ。

 

 

 今上に書いた内容を基にして、おとはすとお話しに行こうと思います。それでは。