Childhood's End

映画と本の感想など

人生「する」か「しない」かという分かれ道で「する」という方を選んだ勇気あるアイドル達の物語/フィロソフィーのダンス1stオフィシャルブックを読んで

 

ロッキー (字幕版)

ロッキー (字幕版)

  • 発売日: 2015/10/07
  • メディア: Prime Video
 

 フィロソフィーのダンス 1st オフィシャルブック『U Got The Look』を読んでいの一番に思い出したのがシルベスター・スタローンの『ロッキー』だった。だけど、どうして関係無いボクシング映画の事を思い出したのか。その時に1983年の月曜ロードショーでの萩昌弘さんによる『ロッキー』評の事が頭によぎった。

 その評論はライムスター宇多丸さんのラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」2010年9月11日放送「ソフト化希望!特集」内で紹介された短い評だった。だがとんでもなく熱く鋭い言葉で『ロッキー』について評されており、その熱い血潮のようなものが媒介になってフィロソフィーのダンスとロッキー・バルモアが結びつけられたのだった。

 

・ 萩昌弘さんの評(該当箇所から再生されます)

 

この評の中でも特に印象深いのが

萩さん:これはボクシングを描いておりますけど単なるスポーツ映画じゃありません。ボクシングが好きとか嫌いとかそんなことには関係なく、これは人生「する」か「しない」かというその分かれ道で、「する」という方を選んだ勇気ある人々の物語です。

  この評を聴いて以来『ロッキー』を観るとそういう視座を持って観てしまうようになった。恐らくこれを聴いた人にそういう呪(祝)いが掛けられるのだろう。今でもそれは有効だったが、『ロッキー』を観る時以外にも効果を表していたとは思いも寄らなかった。

 特にそう感じたのは、個人インタビューでフィロソフィーのダンスになる前に一度何かしらの停滞*1を経験したとメンバー全員が話すくだりだ。

 

【4人の加入前のキャリアについて要約】

  • 奥津さん:シンガーソングライターの活動を辞めてバイト先の社員になるかの瀬戸際で加茂さん*2と出会って加入。
  • 佐藤さん:違うグループでアイドル活動をしていたが活動終了が分かっていたので新しいグループを探しオーディションを受けて加入。
  • 日向さん:入っていたバンドに見切りをつけ加茂さんと連絡をしてそのまま加入。
  • 十束さん:新卒で入った会社を退社し引きこもっていたが、ゲームのPR応援団の活動はしたことが弾みとなってオーディションを受けた。

 メンバー全員が上記のような経験を踏まえた上でスカウトをされたり、オーディションを受けたりしてフィロソフィーのダンスを「する」方を選んで、今ここまで走り抜けてきたことを語っていた。ここまで全員が前のキャリアでの経験を赤裸々に語っているのも驚きだった。過去メディアでは断片的に語られたいた事が”公式”に余すことなく活字になっていることに思い切った決断だなと感心をした。

 そして、そういった物語を知ってより彼女達も過去がある人間なのだとより身近に感じると同時に、フィロソフィーのダンスというアイドルでもあるのだと遠く(尊く)感じるようにもなった。相反するような2つの感情だが同時に成り立っていて、益々4人のことを面白いと思えるようになった。

 

  と色々言ってきたが、最後に僕がフィロソフィーのダンスを表すとしたら、萩昌弘さんの言葉をお借りしてこう言うだろう。

 

これは人生「する」か「しない」かというその分かれ道で、「する」という方を選んだ勇気あるアイドル達の物語です。

*1:適切ではないかもしれませんが敢えてこの言葉を使いました。挫折ともまた違うと思ったので。

*2:フィロソフィーのダンスのプロデューサー